ゆかりのある人に、NANGAのダウン製品の魅力を語ってもらうコーナー『MY BEST NANGA』。
世界的な山岳ガイドである倉岡裕之さんが監修を務めた“あらゆる山域の活動で役立つダウンウエア”とは?

 セブンサミットほか、エベレスト、マナスル、チョ・オユーといった8,000m峰の高所を舞台に活躍する山岳ガイドの倉岡裕之さん。愛用品は過酷な自然環境下で命を守ることを第一に選び抜かれた、最高級の品質のものばかり。NANGAのダウン製品も同じく、である。
倉岡さんとNANGAの出合いは2017年にさかのぼる。当時、エベレストをガイドしていた顧客のシュラフがNANGA製で、ダウンの品質や生地や縫製のよさに目を奪われたのだという。
「てっきり海外メーカーのものかと思いきや、日本のメーカーだと聞いてびっくり。四谷の山道具店『デナリ』の店主がつないでくれた縁で、エベレスト登山に対応するダウンワンピースを一緒に開発することになったのが、私たちの初めての取り組みでした」

 以来、シュラフやダウンシューズ、ダウングローブなどでプロの視点を落とし込んだ高所用のスペシャルモデルを実現してきた。そんななか、一般向けに発売されることになったのが「ミニマ・ダウン」シリーズ。これは「幅広い気温帯に合わせて体温調節できること」を主眼に開発されたダウンの中間着で、監修を務めた倉岡さん自身も国内外を問わずあらゆる山域の活動で愛用するアイテムだという。
「ヒマラヤの氷河ではマイナス20℃から50℃という激しい温度差のなかでの行動を迫られます。そんな過酷な環境下で、体温調節をしながら行動できるダウン製のジャケットとパンツが欲しくて作ってもらったもの。私はもちろん、私の顧客にも必ず上下で揃えてもらっています。8,000m近くではダウンワンピースの下に、7,000m以下ではベースレイヤー、ミニマの上下、アウターシェルというレイヤリングで行動しています」
 特徴はごく薄いナイロンシェルを採用して軽量化・携行性の高さを実現していること、そして大開口のベンチレーションで体温調節が容易なこと。ジャケットは脇から袖下にかけて、パンツはサイド全面にベンチレーションを設けている。倉岡さんによれば、「ベンチレーションつきのダウンの中間着は世界のどこにもない」そう。
「これはアップデートを重ねており、現在のモデルはバージョン4。ジャケットは胸とウエスト部にファスナーつきポケットを備えており、大型のスマホやカメラのバッテリーを素早く収納でき、かつ落下しにくい深さや開口部の開きにこだわりました。パンツは腰から裾までがフルオープンになる仕様で、シェルパンツの下で着脱できるようになっています。濡れや湿気に強い超撥水のダウンを使っているので、多少汗をかいても安心して行動できる。だから高所登山はもちろん、日本の秋冬シーズンの山行にも必携です」
 7,000〜8,000mともなると道具やウエアのチョイスを誤ることは命を落とすことにつながりかねない。だが、日本の雪山もレベルは違えど、同様のリスクをはらんでいる。
「あらゆる山登りの道具にはキャンプユースとは全く異なるクオリティが必要になります。たとえば軽量さは行動時のスピードにつながります。スピードがあれば危険地帯に晒される時間もそれだけ短くなる。だから軽さにこだわるのです」
 軽さと保温性を兼ね備えるダウン製品に最高級を求めるのは、「軽いだけでなく、嵩があって膨らみ力が高く、押し戻しが素早いから」と倉岡さん。世界を股にかけた冒険を支えるダウン製品、ぜひ手に取ってその実力を体感してほしい。

HIROYUKI KURAOKA / 倉岡裕之 (くらおか・ひろゆき) HIROYUKI KURAOKA / 倉岡裕之 (くらおか・ひろゆき)
NANGA PEOPLE

MY BEST NANGA – HIROYUKI KURAOKA

倉岡裕之(くらおか・ひろゆき)

1961年、東京都生まれ。登山家、山岳ガイド。21歳で初のヒマラヤ遠征を体験。2004年の初登頂以来、エベレストには9回の登頂に成功しており、日本人最多記録を誇る。プロスキーヤー三浦雄一郎のチャレジにおけるサポートでも知られている。