NANGA

VISION ABOUT “GOOD SLEEPING”

「寝袋の情熱を家庭用布団に」
社長 横田智之が語るNANGAの布団革命。

年数回の寝袋にこだわるキャンパーが、日々の睡眠には無頓着な現実

私も40代になり、ますます睡眠の重要性を感じるようになりました。我々は「アウトドアでの快適な睡眠」を求めて製品づくりをしていますが、睡眠の質を高める寝具というのは日常生活にこそ必要なものです。アウトドア環境、寒冷地でのアクティビティでは特に機能が求められるから必然なのですが、ありがたいことに皆さん5万円〜10万円もするNANGAの寝袋を使ってくださっています。しかし、年間にしたら限られた日数しか使わない寝袋に比べ、毎日のように寝ている布団の方には気を使わず、お金もかけず、メンテナンスも怠っている人が多いように感じています。

不思議と寝袋と布団を切り離して考えている方が多いのですが、本質に変わりはありません。布団の羽毛も使っていれば汚れるし、ロフトが少なくなって性能が落ちてきます。それだから一年に一回は必ず丸洗いが推奨されています。寝袋では皆さんパフォーマンスを気にして頻繁に洗ってらっしゃると思うのですが、ダウン製品として違いはそこにはありません。布団だってメンテナンスをしないと保湿力が下がるんです。

だいたい年間100~だいたい年間100~150日間、人やご家庭によっては一年を通して使われている羽毛布団。人間は寝ている間にコップ一杯の量の汗をかいていると言われていて、パジャマを着ているとしても、相当な湿気を布団が受け止めていることになります。だから最低でも年に一回は丸洗いをすべきですし、どうしても最初のふんわり感が失われてしまったら5〜10年で仕立て直しをして、羽毛を長く使うことも推奨したいと考えています。

見落とされがちな、日本の布団事情

布団に注目が集まらない理由は、布団に魅力がないからということでは全くありません。私が思うに、単純に消費者意識と布団を販売する側の意識がマッチしていないのが問題だと思うんです。

昔は訪問販売で丁寧に販売されていた日本の布団ですが、時代の流れによって海外での大量生産、量販店での大量消費、薄利多売のビジネスモデルに変わってしまいました。日本の布団はものとしては優れているのに、憂き目にあったわけです。

今にして布団業界に思うことは、プロモーションがイマイチなのでは? ということ。ものは良いのだから、打ち出し方を洗練すればより良い生活を求めている潜在層に届くのではないかと感じました。

アウトドアの寝袋メーカーであり、これから再び家庭用の布団を提供する立場として提案していきたいのは、ご自分の睡眠環境に合った布団の選択です。皆さんが冬用と夏用で寝袋を使い分けているように、布団も寝る環境に合わせて選択できるようにしたいと考えています。

例えば、冬寝るときに暖房をつけている家庭とつけない家庭。夏でもタオルケットだけで寝る家庭と冷房をつけながら羽毛布団で寝る家庭。それぞれベッドルームの環境にお好みがあるはずなんです。それを同一視して、同じ規格の布団にしてしまうのは理にかなっていないので、家庭内温度をもとにダウン量を調整するなど、複数のバリエーションから布団を選べるなんていう事も考えています。

基本はシングルでダウン量が1Kgですが、量を増やした冬用はもちろん、暑がりの方のために保温性を抑えた800gの布団があってもいい。その点はダウンとフェザーの量も調整するなど、「NANGA MOUNTAIN LABORATORY」を通じて研究をしながら、ラインナップを拡充していくつもりです。

NANGAならではのアプローチで寝室を彩る

今現在、私たちが布団を買おうと思った時の選択肢に、家具屋さんや布団屋さん、そしてインターネットや通販がありますが、スタイルというものはあまり選べない印象があります。もちろん、各社様々な機能を設けたり努力をされていますが、最終的にはデザイン性に訴えかけて、自分のベッドルームに欲しいと思っていただくことが重要だと思うんです。ですが、いまだに寝具は無地やチェック柄、花柄のものがほとんどで、デザインがあっても大衆向けのものが多いように感じています。

そこで、「GOOD SLEEPING」ではお客様の好みにフィットする、NANGAの世界観を感じさせるデザインを採用しました。布団本体にはNANGAのロゴをプリントしたオリジナルファブリック。そしてシーツやブランケット自分の好みで選んでいただけるように複数ラインナップ展開。今後は模様替えが楽しめるように毎年新しい柄も追加していく予定です。

オシャレでなおかつ機能が伴っているNANGAの布団。あくまで家庭で使う布団ですが、車中泊やキャンプの時に外に持ち出しても、その風景になじむようなものを作っていくつもりです。

布団事業が羽毛の有効活用の糸口に

「NANGAとは?」と問われたら、羽毛製品を扱っているメーカーということに尽きます。だから布団の事業というものも、私たちのモノづくりの本質を突いている製品だと思っています。別の分野で培った羽毛の技術を、また布団に戻す。野外環境から家庭内環境を見直すという意味でも、とても意義とやりがいを感じています。

2021年にNANGAの布団「GOOD SLEEPING」、2022年には羽毛布団のアップサイクル サービス「RE:ACT」が始まり、この布団事業の立ち上げは、私たちが目指している目標へのステップの一つ。特にRE:ACTでは、お預かりした羽毛布団を布団に仕立て直しするのでなく、他のNANGA製品に変えてお戻しするという事も考えています。例えば1Kgの布団が500gの寝袋が2つになったり、ダウンジャケットに生まれ変わるなら、みんなダウンのリユースをするようになると思うんですよ。

こんなことができるのは、きっと私たちだけです。ファクトリー&ラボというNANGAの魅力に、新たにサスティナビリティが加わって、さらにお客様に愛される製品作りができれば嬉しいですね。