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URBAN CAMP

with Sachi Amano, Mayu Kinbako, Minami Yokota and Yui Yamamoto

アウトドア遊びを愛する彼女たちにとって、スケートボードは気軽に楽しめる街遊び。
自然に挑むために山へ行く一方で、仲間との交流を求めてパークへ向かう。

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暮らしのそばにある遊びの風景

 スケートパークに広がる白いコンクリートが秋の陽射しを反射して、まるで撮影用のレフ板のように彼女たちを照らし出す。雪のない季節はスケートボード、雪が降ればスノーボード。長野を遊び場にするヨコノリ好きの4人にとって、それはごく自然な日常の風景だ。

 そんな彼女たちが今回訪れたのは、スケートパークとキャンプ場を有する八ヶ岳のアウトドア施設。森に囲まれた非日常の空間で、いつも以上に大胆に、そしてのびのびと板を走らせていた。彼女たちは特定のチームに所属しているわけではなく、スケボーやスノーボードを通じて出会い、自然と絆を深めていった仲間たち。たまにこうしてパークで集まったり、冬は雪と戯れながら、自由に遊んでいる。

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 軽井沢出身の南さんと茉由さんは、10代の頃に地元のボードショップで出会い、スノーボードやスケボーを一緒に楽しむようになった。佐久周辺では、スノーボードをする人の多くが男女問わずスケボーも嗜んでいて、軽井沢流のヨコノリカルチャーの中で育ってきたそうだ。

 そんな茉由さんと秋田出身の紗智さんの出会いは、ウィンタースポーツのメッカであるカナダのウィスラー。「私と茉由はワーキングホリデーで滞在している間に一緒に遊ぶようになった仲。雪のない時期は移動手段としてスケボーを使っていて、日常の中にダウンヒルがあったりしました(笑)」。そう話す紗智さんは、帰国後に雪を求めて長野へと移住。南さんとも知り合い、長野での繋がりも広がっていった。

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 安曇野出身の優衣さんと茉由さんは、お互いにプロスノーボーダーとして活動していた際に、バックカントリーの撮影で知り合った仲。以来スノーボードもスケボーも問わず一緒に遊ぶようになったという。

「ヨコノリのカルチャーって、コミュニティが小さい分、横のつながりが広がりやすくて。だから、みんなどこかで出会う運命だったと思うんです」と優衣さんが語ると、「スノーボードやスケボーって危険だから途中で辞めちゃう人も多いし、同世代の女性って意外と少ない。結局、続けてるのはしぶとい人たちばかり」と南さんは笑う。そんな共通点を持つ女友達の存在は貴重で、だからこそ自然と距離も縮まり、会話も尽きないのだろう。

 遠征や旅も好きだけれど、フィールドの近くに暮らし、身近な場所で遊ぶというのが、今の彼女たちには心地いいスタイル。それぞれが自分に合った居場所を見つけ、今こうして自然体で笑い合っている。

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「スノーボードはいい雪を、サーフィンはいい波を当てに行く感覚。でもスケボーはもっと気軽。ストリートやパークがあればいつでもできるし、なんなら家の前でも滑れる。パークに行けば誰かしらに会えるから、滑りに行くというより、誰かに会いに行くような感覚ですね」と茉由さんは話す。

 彼女たちにとって、スケボーは街寄りの遊び。常にクルマにボードを積んでおいて、気が向いたらカフェに行くような気分で滑りに行き、おしゃれも楽しみながら板に乗る。トリックに一喜一憂しながら、ときにはパークに行ってもほとんど滑らず、おしゃべりだけして帰ってくることもあるという。それもまた、彼女たちらしいスケボーの楽しみ方なのだ。

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“らしさ”を持ち寄る、ガールズキャンプ

 秋晴れの午前中をスケボーに費やしたあとは、キャンプ場に移動してその日の寛ぎ空間を設営。木漏れ日が心地よいアカマツの森にタープを張り、間伐材を利用したウッドチップが敷き詰められたサイトに、テーブルやチェアを広げていく。

「薪を運んだり、設営を手伝ってくれたり、SUPの空気を入れてくれたり。力仕事を任せられる男性がいると助かるけど、女子だけっていうのも盛り上がるよね」と南さん。キャンプはパートナーや仲間と出かけることが多いが、こうして女子会キャンプを開くことも珍しいことではない。

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 彼女たちにとってのキャンプは、アクティビティとセットであることも多いそうだ。むしろ、人によってはスノートリップや山登りのための車中泊ばっかりというから、“ガールズキャンプ”という言葉から連想されるようなイメージより、ずっと頼もしい。とはいえ、整然とした収納ボックスからはチャーミングなギアが次々に登場。手際よくサイトを整える傍ら、テーブルにはクロスを敷くという彩りも忘れない。そんな小さな工夫にも、彼女たちのスタイルが表れていた。

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 自然に囲まれた場所で暮らす彼女たちにとって、アウトドアはあくまで身近な存在。日常の延長線上にある自然の中で過ごす姿には、自宅でくつろぐようなリラックス感さえ感じられる。

「もちろん、普段から自然のそばで暮らしていますけど、テントを張って焚き火を囲む時間には、また違ったリズムがあって。外でヨガをすると気持ちが整うように、自然の中にいるだけで、不思議と心がほどけていくんですよね」と茉由さん。

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 リラックスムードの中ではじまったコーヒーブレイクは、お菓子職人でもある南さんの手づくりスイーツとともに。米粉のバナナケーキにレモンのショートケーキ、テリーヌチーズケーキ、そしてクッキー。やさしい甘さとビターなコーヒーが交差するひとときが、アウトドアの時間を穏やかに運んでいく。

 そんな風にそれぞれの得意分野が自然と活かされているのも、彼女たちのキャンプならでは。焚き火の場面では、林業に携わる紗智さんが持参した間伐材の薪が活躍。手斧で軽やかに小割りにする姿を見た優衣さんが、ふと思いついたように声をかける。

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「最近、木を削ったりしてスケートやスノーボードを自作しててさ。今度、さっちゃんのところで伐った木で板をつくらせてもらえない?」

「いいね! むしろ私もやってみたいから、つくり方教えてよ」と、紗智さんも笑って応じる。

 好きなことにまっすぐでいられるのは、気の置けない仲間がいるからこそ。それぞれが自分のペースでやりたいことを持ち寄り、楽しみ、形になる。アウトドア遊びに導かれて出会った彼女たちだからこそ、新たな未来もこのつながりから自然と生まれて、そして育まれていくのだろう。

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天野紗智(右)
スノーボードのライダーになった頃から抱えていた「自然の近くで暮らしたいが、活動資金を稼ぐには都会で働くしかない」という課題を見つめ直し、一年通して自然と共生した働き方ができる自伐型林業に着目。一般社団法人『ディバースライン』を設立し、スノーボード仲間とともに持続可能な森づくりを実践しながら、スノーボード×林業という自然と共生した生き方を体現している。
IG:@amsachi


横田南(中央右)
好奇心旺盛で、スノボ&スケボーに加えてGB250クラブマン、インプレッサ、コペンを愛車に持つ乗り物好き。日本三大ケーキの街である長野県・佐久の有名洋菓子店、軽井沢のカフェ、ケーキ屋で修行をし、2024年に地元軽井沢で「食事と喫茶 一息」をオープン。アレルギー体質の人も食べられる、身体に優しいお菓子を届けている。
IG:@_minami.____


金箱茉由(中央左)
小学校2年生からスノーボードをはじめ、20代はプロライダーとして活躍。長野県内のスノー&スケートパークではスタッフとしても勤務していた、生粋のヨコノリ好き。現在はヨガインストラクターとして地元軽井沢や佐久でレッスンを行い、スポーツに打ち込む中で得たケガの経験をもとに、アフターケアとしてのヨガも提案している。
IG:@fantasticshine666


山本優衣(左)
安曇野出身で現在は福井県鯖江在住。たこ焼き屋さんの女将であり、スノーボーダーであり、アーティスト。「安曇野の里山で百姓のおじいちゃんおばあちゃんに育てられたおかげか、自分で手を動かしてモノをつくるのが昔から生活の一部にあって、最近では県産材を使ったスノーボードを一から手作りをして、旅をしながら全国の雪山を滑っています」
IG:@yamamoottoto

Photography: Misaki Tsuge
Text: Jumpei Suzuki